売上に結びつくサンプルの渡し方
サロン様の経営に役立つ情報や、何かのヒントになるような話題をご提供するコーナーです。今回は「売上に結びつくサンプルの渡し方」について考えて見たいと思います。お役にたてれば幸いです。
商品サンプルをお客様に渡す時にどんなことを思いますか?
「私の好きな商品だし、使ってもらえたら絶対気に入ってもらえる!」
そうですよね。お店で人気のある商品や、先生スタッフの皆さんが気に入ってる商品なら、使えば絶対によさがわかってもらえますよね。自信もありますよね?
でも、待ってください。
そのサンプル、お客様は、おうちでちゃんと使ってくれるでしょうか?
「今度旅行するときまでとっておこう」
なんて、ドレッサーの引き出しにしまいこまれて、何か月も忘れられてたりするのではないでしょうか?
これでは、せっかくお渡ししたサンプルが全然売り上げに結び付きません。
お渡ししたサンプルを必ず使ってもらう方法
サンプルを実際に「欲しい、使ってみたい」と手をあげてくださったお客様にお渡しするようにすれば、かなり使ってもらえる確率は上がります。では、どうやって、声をかけてもらうか? 簡単です。下のようなポップを待合やレジ、施術スペースなどのお客様の目につきやすいところに貼るだけでOK。
実際にお声がかかったら、必ずカウンセリングしてください。
欲しいと言われたからといって、なにもきかずに渡してしまったら、やっぱりそのサンプルは使ってもらえないかもしれません。価値が高くならないからですね。
●今のお手入れの不満な点は何か?
●どんなことを解決したくて、サンプルが欲しいと言ったのか?
●アレルギーの有無など
を質問してください。そして、その答えによってお渡しするサンプルを吟味してください。 これをやるだけで、お客様にとってそのサンプルが
私だけに選んでくれた唯一無二のサンプルになり、
必ず使ってもらえます。
100%購入につながるサンプルの渡し方
これまでサンプルをお渡ししたお客様の何割が、実際商品を買いましたか? 1割? 2割?
「サンプルなんてそんなものでしょ、まさか100%なんかあり得ないし。」
いえいえ、そうでもないんですよ。
サンプルをお渡ししたお客さまがほぼ100%商品を買ってくださる、そんなサンプルの渡し方があるのです。
ぜひ、これからのサンプルの渡し方のヒントにお役立て下さい。
東京のあるサロンでは、お客様のお肌や髪の状態を担当者がしっかり「見る」という心掛けをしています。まず「見て」気がついたことがあったらお客様に確認するようにしています。
「ここが赤くなっていますけど、いつからですか?」とか 「ここちょっと吹き出物が出そうな感じですね」とか
そうすると、お客様でも
「え?そうだっけ?」
と一緒に鏡を見たりしてくれます。 担当者だけが気がついて、
『このお客様にはあの商品が合うだろうなぁ。お帰りの時に、あの商品のサンプルをお渡ししよう。』
等と先走ったりしません。 これでは、売り上げに結び付く可能性はとっても低いのだそうです。
まずは、お客様とじっくりお肌(あるいは髪の毛)の話をします。お客様は、技術メニューを受けに来店されているのですから、そこから離れた話をしても、喜ばれないのです。
担当者は、お客様の状態をプロとして観察し、気がついたことをお客様と共有していきます。
「ここどうなさいました?」
「いつからですか?」
「気になりますか?」
そして、それを踏まえたうえで、技術メニューを行います。 エステならお肌のお手入れ、美容室ならヘアメニューですね。
それが終わったら、その技術メニューで起こった変化を、もう一度確認します。
「ここの赤みは水分を補給して鎮静することで、ここまで抑えられました」
「ここのコメドは出来るだけ取り除きました。あとは触らず鎮静することで改善しますが、新しいコメドをつくらないことも大事です。できそうですか?」
など、今後のホームケアのポイントなどもお話します。
でもまだ、サンプルには行きません。 店販商品の話もしません。
この時点で、お客様が自分で行うホームケアにあまり熱意がなかったり、関心が低そうであれば、ここまでです。
こういう方に
「とってもいい洗顔があるんですよ。●●様の今のお肌の状態にぴったりだと思うので、良かったら使ってみますか?」
と言って、サンプルをお渡ししても、まず購入にはつながりません。 サンプルは無駄になります。いえ、無駄になるだけならまだいいのですが、次にご来店になった時に
「こないだの洗顔使ってもらえました?どうでした?」 などと話をして
「まだ使ってないの」 とか 「なんだかよくわからなかった」
というお答えだったら、もうそのお客様に同じ商品をすすめることは難しいですよね?>
プロの目から見て、このお客様にはこの商品が絶対ピッタリなはずなのに! と思っても、機が熟さないうちに先走ると、売り上げの可能性を自ら摘んでしまうことになるのです。
全てのお客様に真摯に向き合って、お客様のお肌の状態を共有していくことができれば、 お客様の中から
「この赤み、気にはなってるんだけど、自分でどうしていいかわからなかった」
というお悩みを話してくださる方が必ずいらっしゃいます。 悩みを話してくださるというのは、かなり信頼されているわけですから、ここまできたら何は置いても先ず信頼にこたえましょう。
「言ってよかった」 と思ってもらうのです。ここで、不用意に商品の説明に入ると「言わなきゃよかった」と思う方も多いので気をつけて。
サロンでは手を尽くして施術を行っていますので、残る分野はホームケアです。 ホームケアをお客様ご自身でやってもらわなければ、これ以上の改善は望めません。
では、ここからの話は洗顔を例にとってすすめましょう。
技術者「赤みはいつも出ますか?」
お客様「だいたい出てます。敏感肌なのかな。今日はきれいにしてもらったけど・・・」
技術者「普段の洗顔はどうされていますか?」
お客様「クレンジングしてメイクを落としてから洗顔フォームで洗ってます」
技術者「ちゃんとやってらっしゃいますね。クレンジングの使用量はどのくらいですか?」
お客様「このくらいかな」
技術者「お客様のお肌に対しては少し少ないですね。その倍使うことできますか?」
と具体的に、お話を進めていきます。 今のは一例ですが、洗顔の泡立ての量、すすぎの回数、使う水の温度、指の使い方など、クレンジング&洗顔だけでも、お手入れの改善点はたくさんあり、プロの皆さんには当たり前のことでも、お客様には初耳だったりもします。
このように、お客様が今日からすぐできる情報をお伝えすることがまず大事です。 商品の話は、まだまだ先ですよ。
技術者「赤みが出るのは、刺激が加わっているからですね。●●様の場合は、洗顔時のストレスを半分にしてあげると、ずいぶん改善するはずです。まずは今夜からクレンジングの使用量を倍にしてみましょう。やれそうですか?」
お客様「はい」
技術者「またお肌を見せてくださいね」
こういう風に話が進むと、お客様は、「いいことを聞いた」と思ってお帰りになるのではないでしょうか?
お客様が 「やってみたい」「これならできそう」 と思えることからはじめます。
間違ったスキンケアを改善すると、当たり前ですがお肌の状態も改善します。
「あのお店の人の言った通りだ」 と思ってもらえ、
次にいらしたときには、きっとお客様の方から
「やってみたら調子が良くなった」 というお声を聞かせてもらえるはずです。
この時代、化粧品のサンプルなんて道を歩いてても配ってます。 サンプルを珍しがって、有難がって下さるヒトなんてまずいません。
「何をもらうか」ではなく「誰からもらうか」が一番重要なのです。
「肌の」「髪の」プロとして、 「私の状態を見ていてくれる、専門のアドバイザー」 「私より、私のこと知ってる 専門家」
からもらったサンプルは、きっとすぐに使ってもらえます。それもかなりのワクワク感と共に。サンプルをお渡しするときは、使い方と共に
「これを使うと、●●様のお肌はこんな感じになりますよ」
と予告してあげてください。 家に帰って使うのが、楽しみでしょうがないっていうレベルになります。
ここまでいけば、売上はあとから確実についてきます。
「店販品があるから説明しなきゃ!」
「提案しなきゃ!」
「サンプルあるから渡さなきゃ!」
という考えはどうか捨ててください。
まず、①お客様のお肌や髪、頭皮をじっくり観察(ここまではいつもやってらっしゃるお仕事だと思います)
そして、それを
②お客様と共有してください。
お客様から悩みの相談が出たら、
③悩みを取り除くホームケアの改善点を伝えます。
ご来店のたびに①②③を繰り返します。
やっていただくことはこれだけです。